山野草(さんやそう)または山草(さんそう)とは、国内外の平地から高山に至る野外に自生する草本、低木及び小低木の一部を含む幅広い意味を持つ言葉ですが、未だに明確な定義が確立されていません。
一般的には野生植物のみを指すと思われていますが、近年では国内外で品種改良されたものが「山野草」として流通している例も多く、取扱業者が便宜的につけた不適当な名称で取り引きされている場合もあります。また、ラン科のエビネ属やキンポウゲ科のオオミスミソウなどのように、優秀な技術を有する専門業者等により積極的な育種が試みられ、鑑賞価値の高いものが広く普及しつつあるものもあります。
さらに、日本春蘭(シュンラン)、富貴蘭(フウラン)、長生蘭(セッコク)、日本桜草(サクラソウ)などの高度に園芸化された古典園芸植物をも広く含む場合もあります。
日本では自然保護に対する国民の意識が低いこともあり、身近な山野から略奪して栽培することが横行しているのが実情です。絶滅危惧種を植物群生地から略奪して、どこかの花屋さんで売っているのを見かけるとモラルの低くさを感じます。
園芸流通の面では、小売り業者の多くが自然保護に対する認識を欠くため、低地での栽培がほとんど不可能な高山植物を量販店の店頭で大量に販売するなどの事態が生じています。今後はこのような面における法的規制も必要となると思われます。